施工事例
非常用発電機更新時の工夫【停電避難時のエレベーター利用について】
2021.04.27
先だって施工しました非常用発電機更新工事(大宰府市・水城病院様)での工夫を紹介いたします。スプリンクラー設備の設置が義務づけられる一定規模以上の病院などでは、災害時に停電があってもその設備の稼働ができるよう併用して非常用発電機の設置が必要となります。
今回は、その本来の目的である消火設備のための非常用発電機で、火災時以外の停電の際にエレベーターを「避難用として使いたい」というお客様の要望に応えるための工夫です。
水城病院様は本館と新館で構成され延床面積1万㎡を超える長期療養型の病院です。元々、BCP対策にも積極的な取り組みをされており、新館では新築時から非常用発電機回路においてエレベーターを稼働できるようになっていましたが、新館より古くからある本館側はその様になっていませんでした。
そこで、本館の非常用発電機の更新を機会に新館と同じ機能を持たせたい、というご要望でした。
内容として、単純には発電機の容量を大きくすれば良いのですが、基礎の大きさや電源ケーブルサイズの見直しも必要であったため、全体のコスト面でお客様の負担が大きくなってしまうものでした。
あくまで「万が一」の時にしか使用しない機能なだけにコストバランスの考え方は重要になってきます。
そのため「火災の伴う停電時にはエレベーターに非常用発電機からの電気を供給しない」という回路設計とすれば、本来の目的である「消火設備のため」の機能を損なわず、発電機の容量や付帯設備をそのままとしてお客様のご要望に応えることが出来ます。
そこで今回の工事では、配電盤にあるエレベーターの電源回路に「電磁接触器」と呼ばれる制御機器を増設し、火災時でない場合の停電時に限りエレベーターを稼働できるようしました。
「常時使うものか」「滅多なことでは使わないものか」をお客様目線で考え、少しの工夫を加えた事でコストバランスの良い工事内容になったと思います。
今後の設備設計にも応用できる事例となり、お客様から頂いた仕事でまた一歩成長させていただきました。
ありがとうございました。